イラレ:塗り足しの作り方!パッケージの塗りつぶしを例に塗り足し線や色を付ける方法を解説!

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イラレ:塗り足しの作り方!パッケージの塗りつぶしを例に塗り足し線や色を付ける方法を解説!

パッケージデザインなどの印刷デザインを制作する際、必須になるのが「塗り足し」をつける作業です。

塗り足しとは、印刷物のデザインを紙の端まできれいに印刷するために、仕上がりサイズよりも外側に数ミリ(通常3〜5mm程度)余分に背景や絵柄を広げて作成する部分のことです。

印刷は大きめの紙にまとめて刷り、最後に断裁して仕上げますが、その際にどうしても数ミリのズレが生じることがあります。塗り足しを作っておかないと、断裁のズレで紙の端に白い部分(印刷されていない地色)が出てしまうことがあります。これを防ぐため、仕上がり線(断裁する位置)より外側まで背景や絵柄を広げておき、断裁時に多少ズレても端まできれいに色や絵柄が印刷されるようにします

また、塗り足しの幅は、一般的なチラシや名刺、パンフレットなどの印刷物では「上下左右3mm」が標準ですが、化粧箱やパッケージ印刷など、より複雑な形状や抜き加工を伴う場合は「5mm」の塗り足しが必要なこともあります。こちら用途や印刷会社の指定に合わせて設定する必要があります。

以上、塗り足しに関してご理解いただいたかと思いますが、実際に塗り足しを付ける作業について疑問に思う方も多いかと思います。

そこでこの記事では、パッケージの通販会社におよそ7年間勤務し、パッケージデザインに関する実務作業も行なっていた私の経験を基に、塗り足しの作り方について解説いたします。

パッケージ塗りつぶしを例に、塗り足し線色を付ける手順をまとめております。

※一般的にデザインデータ作成時に使用するソフトはAdobeのIllustratorになりますので、この記事ではIllustratorで制作する方法をまとめております。

※一般的なチラシやパンフレットの場合は形状が簡易的になりますので、仕上がり線から3mmはみ出すようにデザインを配置すれば問題ないですが、今回の方法は少し複雑な形状のデザイン向きの方法になります。

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1.塗り足しを付ける具体的な方法

早速ですが、パッケージの塗りつぶしを例に、塗り足し線や色を付ける手順を解説していきます。

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①まずはデザインを載せる展開図(テンプレート)をIllustratorで開きます。

そして、レイヤー」ウィンドウの右上のメニューから『レイヤー名(※ここでは展開図)」を複製』で展開図のレイヤーをコピーし、複製した展開図レイヤーを選択します

展開図レイヤーを複製して、複製した展開図を元に塗り足し線を作っていきます。
元の展開図は誤って編集しないようにロックをかけます

「レイヤー」ウィンドウの右上のメニューから『展開図」を複製』で展開図のレイヤーをコピーする。
「レイヤー」ウィンドウの右上のメニューから『展開図」を複製』で展開図のレイヤーをコピーする
複製した展開図レイヤーを選択し、元の展開図は誤って編集しないようにロックをかける。
複製した展開図レイヤーを選択し、元の展開図は誤って編集しないようにロックをかける

塗り足し線を作っていきます。

今回はパッケージ印刷ですので、展開図の外側5mmの部分に枠線を設けます

選択」→「すべてを選択」でコピーした展開図全体を選択します

「選択」→「すべてを選択」でコピーした展開図全体を選択する。
「選択」→「すべてを選択」でコピーした展開図全体を選択する


オブジェクト」→「複合パス」→「作成」を選択します

「オブジェクト」→「複合パス」→「作成」を選択する。
「オブジェクト」→「複合パス」→「作成」を選択する


オブジェクト」→「パス」→「パスのオフセット」を選択します

「オブジェクト」→「パス」→「パスのオフセット」を選択する。
「オブジェクト」→「パス」→「パスのオフセット」を選択する


オフセット」の欄に「5mm」と入力する展開図から5mm外側の位置に枠が出来ます

「オフセット」の欄に「5mm」と入力すると、展開図から5mm外側の位置に枠が出来る。
「オフセット」の欄に「5mm」と入力すると、展開図から5mm外側の位置に枠が出来る


内側にも枠線が出てきてしまう為、「ダイレクト選択ツール」で内側の線を選択し、【Delete】キーで消していきます

「ダイレクト選択ツール」で内側にできた線を選択し、【Delete】キーで消す。
「ダイレクト選択ツール」で内側にできた線を選択し、【Delete】キーで消す


一部いびつな形になってしまう箇所が出てくるかと思いますので、「ダイレクト選択ツール」で該当箇所を選択し、輪郭を調整していきます。※ある程度アバウトで問題ないので、内側の輪郭と同じ形になるように調整します

「ダイレクト選択ツール」でいびつな形の輪郭を調整する。
「ダイレクト選択ツール」でいびつな形の輪郭を調整する
ある程度アバウトで問題ないので、内側の輪郭と同じ形になるように調整する。
ある程度アバウトで問題ないので、内側の輪郭と同じ形になるように調整する

ここまでの工程で、塗り足し線の制作が完了しました。


⑧では、次に色を指定して枠内を塗りつぶししていきます。

選択」→「すべてを選択」で塗り足し線全体を選択します

「選択」→「すべてを選択」で塗り足し線全体を選択する。
「選択」→「すべてを選択」で塗り足し線全体を選択する
輪郭が綺麗になった外枠(塗り足し線)。
輪郭が綺麗になった外枠(塗り足し線)


オブジェクト」→「ライブペイント」→「作成」を選択する

「オブジェクト」→「ライブペイント」→「作成」を選択する。
「オブジェクト」→「ライブペイント」→「作成」を選択する


キーボードの「K」を押すと、色を指定して塗りつぶしの作業が出来るようになりますので、図面をクリックし、図面全体を塗りつぶします

キーボードの「K」を押すと、指定の部分をクリックすることで塗りつぶしの作業が出来るようになる。
キーボードの「K」を押すと、指定の部分をクリックすることで塗りつぶしの作業が出来るようになる
色を指定して枠内全体を塗りつぶす
色を指定して枠内全体を塗りつぶす
「展開図のコピー」レイヤーをドラッグ&ドロップで「展開図」レイヤーの下に移動させることで、塗りつぶしが背面に移動し、展開図線が前に出てくる。
「展開図のコピー」レイヤーをドラッグ&ドロップで「展開図」レイヤーの下に移動させることで、
塗りつぶしが背面に移動し、展開図線が前に出てくる


「展開図」レイヤーのロックを解除し、完成

「展開図」レイヤーのロックを解除し、完成。
「展開図」レイヤーのロックを解除し、完成

以上、展開図(仕上がり線)から5mm外側に塗り足しを付ける作業が完了しました。

今回は、塗りつぶしを例に解説しましたが、オブジェクトを端まで載せるデザインの場合には、作成した塗り足し線をガイドにして、デザインを配置してください。

必要に応じて、塗り足し線からさらにはみ出るようにオブジェクトを配置して、クリッピングマスク機能を用いて非表示にすることで綺麗に配置ができます。

最後に補足ですが、今回解説させていただいた方法は独自の方法になります。

輪郭が複雑な形になりがちなパッケージデザインにおいては特に汎用性が高い方法かと思います。

⑦の枠線の輪郭の調整作業がある程度アバウトな方法になりますが、パッケージデザインの塗り足しの精度は、ある程度アバウトでも問題が無いので、その前提でこの方法をご紹介させていただいております。予めご了承ください。

2.まとめ

まとめ。パソコンでメモしている様子。

イラストレーターを用いた塗り足しの作り方について、パッケージの塗りつぶしを例に、塗り足し線や色を付ける方法について解説いたしました。

今回、塗り足し線を作るところから解説しましたが、そもそも塗り足し線が入った状態で、デザイン入稿用のテンプレートを入手できるサービスなどもあります。

しかし、印刷を依頼する業者によっては、テンプレートに塗り足し線が無い場合もありますので、この方法をマスターして、不備無くスムーズにデザインデータを制作しましょう!